あらすじ
人族の王が治めるプレヴェド王国の南方にある、大きなダンジョンを抱えるラウテル辺境領。
そこの領主であるラウテル辺境伯家には、兄イェンス、妹イェーレがいる。ふたりはある意味有名だった。
不慮の事故で左目に傷がある兄と、表情の変化が乏しい人形のような妹。
ああ、あんなに凛々しい辺境伯と麗しい辺境伯夫人の子どもたちなのに ―― なんて噂されているが、当人たちは特に気にしていない。とても仲の良い兄妹である。
そんなイェーレ・ラウテルには家族にしか知らない秘密があった。
「兄さま、ゲームだとヒロインがこっちのダンジョン攻略しちゃうんだけど、私たちで先にサクッと攻略してエンディングに必要なアイテムゲットだぜ! ってことでダンジョン攻略行こう」
「あいてむ? 今回も魔道具か?」
「そう。兄さま攻略用の必須アイテム」
「さっさと行って破壊一択だ行くぞー!」
「イエッサー!」
―― 彼女が、前世の記憶を持った転生者であること。
ここは乙女ゲーム『紅乙女の幻想曲』の舞台であるプレヴェド王国。そのゲーム内ではヒロインサポート役であるイェーレではあるが、彼女の "推し" はヒロインではない。
不遇な生い立ちを持ち、分厚い化粧ばかりする悪役「化物令嬢」と呼ばれるコーネイン公爵家の長女、ロザンネ・コーネインである。
シナリオでは17歳まで誰からも手を差し伸べられず、ひとりのはずのロザンネだったが、ラウテル兄妹、さらには『精霊』フィートに出会ったことで、狂い始めていたシナリオはますますイェーレが知っている内容から外れていく。
けれど、ゲーム本編開始の段階から本来のヒロインはシナリオ通りに動こうとしていて……?
「私、ゲームプレイしてるときからずーっと言いたかったんだ~! ―― 自分の婚約者は誰なのかよく考えろテメェの脳みそ腐ってんのか? あァ!?」
「待て待て待て待て、その発言は同意するがその手にある得物はしまえ!! こういうときはな ―― うちが管理してるダンジョンの奥に武器込みで放置してやりゃいいんだよ」
「やだ兄さま、優しいけど天才~~」
「……君たちのところのダンジョンは我が国最高難度で、死者も出てるところだろう。止めなさい」
これは【攻略対象者】である口が悪い兄と【ヒロインサポートキャラ】の口が悪い妹(転生者)が、悪役令嬢とされた友人の恋愛を応援しつつ、兄妹もそれぞれ不器用な恋愛をする物語。
※ アルファポリスで公開中の「彼女が幸せを掴むまで〜モブ令嬢は悪役令嬢を応援しています〜」(成人向け)を全年齢向けにリメイクしたものです
※ 拙作「俺の愛娘は悪役令嬢」の約100年前の話(アーサー第三王子の故国、プレヴェド王国が舞台)
※ 兄イェンス(エース)視点がメイン
※ リメイク前の作品とは異なる展開になる可能性があります