あらすじ
自己肯定感が底抜けに低い死にたがりの少女凪音《なぎね》。彼女は16歳の誕生日プレゼントに、両親からヘッドフォンを贈られる。
早速着けてお気に入りの音楽を聴いてみると、何か物足りない。試しに音量を一気にあげると、あまりのうるささに頭が痛くなる。
しかし、その頭が痛くなるほどの音圧が、死にたがりの凪音には心地よかった。
自分が好きな音楽で、この音圧で死にたい。凪音はそんな願いを抱え、自分を死に誘ってくれる1曲を作るため、作曲家の道へと進む。
凪音が作曲をして数年、彼女は誤って自分の曲をSNSに投稿してしまう。自己満足のために作った曲なんて、人に見せられたものじゃない。急いで消そうとすると、ひとつのコメントが。
「この曲、すごく好きです。次の投稿も楽しみです」
その言葉に、削除しようとした手が止まる。それからも凪音の曲は好評で、凪音は「ネギマ」という名前で、匿名アーティストとして、名を挙げていった。
しかし、そんな日々を続ける中で、凪音は病気になってしまう。
やがて病は進行し、凪音は亡くなる。
ネギマが亡くなって、SNSの更新が途絶えた時、彼女を推してた少年、海月《みつき》は崩れ落ちる。
「もう一度、あの人の曲を聞きたい」
SNSの更新が無くなっただけで、まだ彼女の確実な死の証拠は取れていない。ネギマはまだ死んでいない。海月はそう思い込み、ネギマがまた復帰したいと思って貰えるような音楽を作るため、奔走する。
狂信的なまでにネギマを愛した海月は、やがて結婚し、娘ができる。
家族3人、幸せに暮らしていたが、娘が中学3年生の春、不登校となる。
不安に駆られながらも、無理に事情を聞き出せず、日々は過ぎる。
娘が高校生になった夏。突然海月の部屋に入ってくる。
「私、死にたかった。でも、お父さんの曲に救われたの。」
弱々しく立つ娘の奥に、自分が1番救いたかった人の影を見た。