あらすじ

『それ』は台地が裂き、山が砕き、世界が終わるような轟音を奏でていた。 『それ』に、悪意はない。 『それ』はただただ、山よりも大きい流線型の体形を揺らして進んでいるだけなのだ。 ――曰く、『それ』は蛇である。 世界を七周して余りある巨躯を持つその蛇は、街を挽き、河を書き換え、山を均してなお止まることを知らない。 決して止まらぬ進撃は、千年をかけて星の半分を挽き潰した。 災厄の化身。 破壊の権化。 災禍の蛇。 ――曰く、その名を『世界蛇《ヨルムンガンド》』と云う。 静寂に満ちた闘技場で、男はただ一人上機嫌に笑っていた。 倒れ伏した百人近くの戦士を気にかける様子もなく、自信と渇望に満ちた笑い声をあげている。 男の足元に落ちていた一枚の紙には、こう書かれていた。 『集え、強者。征界王ヒルハルド国王の栄光の下、世界蛇「ヨルムンガンド」を討ち滅ぼし世界を救わん』 ひとしきり笑い満足した男は、鋭い眼光で王を見据えて口を開いた。 「俺が船長の、アルフレッド・アンダーブラッドだ。誰も、文句ねえな?」 これは、「ヨルムンガンド」討伐という偉業を成し遂げるために数多の英雄が集った奇跡の旅路、『英雄たちの航路《アルゴナウタイ》』の物語。

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小説を読もう2025/12/01
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