あらすじ

『ホワイト・クリスマス ——これは甘い復讐(ケーキ)です。』

――白い息が、夜にほどける。
ガラス越しの街は、鈍い銀箔のように光っていた。

 

ホワイト・クリスマス。
昔はそれが、願いだった。
雪の結晶が落ちるみたいに、
夢が降り積もると信じていた。

でも大人になった私は知っている。
白いものほど、汚れを隠す。
光の多い場所ほど、影が濃い。

 

あなたは私のレシピを盗み、
私の名前を消し、
笑顔で言った。

――「才能は使える者のものだ」と。

 

けれどね。

焼きたてのスポンジは、
嘘を吸わない。

クリームの甘さは、
支配に染まらない。

砂糖は、
権力の味を嫌う。

 

だから私は今日、静かに火を灯す。
オーブンの赤い光は小さな革命。
粉砂糖の雪は、真実の証拠。
ナイフの刃先は、過去と未来の境界線。

 

さあ――切り分けましょう。

あなたが奪った“奇跡”の続きを。
私が焼き直した、“本物のホワイトクリスマス”を。

 

外では雪が降り積もる。
白は罪を覆い隠す色じゃない。
罪を浮かび上がらせる光の色。

甘い香りが、静かに夜を満たす。

 

これは復讐。
だけど苦くない。
なぜなら――
私の勝利は、甘く焼き上がったから。

 

ホワイトクリスマス。
今夜だけは、
世界が正しく白くなる。

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アルファポリス
アルファポリス2025/12/01
  • 現在の作品『ホワイト・クリスマス ——これは甘い復讐(ケーキ)です。』