あらすじ

深夜のコンビニで働く「僕」は、 ある雨上がりの夜、 誰も通っていないのに開く自動ドアを目撃する。 防犯カメラにも映らず、 痕跡も残らず、 ただ“店のどこかが減った”ような違和感だけが残った。 そんなとき現れたのは、 街の噂で“ノイズを読む男”と呼ばれる青年・橋屋つるぎ。 彼は店内を一瞥するなり、 こう言った。 「温度が抜かれとる」 それは幽霊でも超常現象でもない。 つるぎによれば── “ある職業の人間”だけが見せる、異常な行動の末路だった。 奪われたのは金品ではなく、 存在そのものの温度(ぬくもり)。 そして“消えたはずの誰か”は、 最後に僕の肩に触れていたらしい。 犯人は死んでいない。 だがすでに“世界から消えている”。 残されたのは、 店外の壁にわずかに残った ひとつの温もり。 それは何を意味していたのか。 なぜその人は痕跡を消したのか。 そしてなぜ最後に僕に触れたのか──。 心霊にも見えるのに、すべては人間の行動で説明できる。 静かな夜に紛れた、ひとりの“消えた人間”の物語。 読後、そっと暖房を上げたくなるような、 温度のミステリ短編。

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小説を読もう2025/11/30
  • 現在の作品『消えたはずの温度』