あらすじ
「――もう、疲れた」
自らの首筋に刃を当て、絶望のまま死を選ぼうとしたその瞬間。
この世界が『戦略RPG』であるという真実が、俺の脳裏に蘇った。
セリオン・モルテンコア。
侯爵家の嫡男にして、怠惰で傲慢。
周囲からは蔑まれ、待っているのは破滅か。
あるいは処刑という、救いようのない『悪役貴族』。
だが、死の淵で全てを思い出した俺は、絶望ではなく、激しい怒りで咆哮した。
――ふざけるな。誰がこんなクソみたいなシナリオに従ってやるものか、と。
破滅の運命を【拒絶】した俺は、隠された古流剣術《無明流》を開眼。
血の滲むような鍛錬の末、誰にも負けない「最強の剣術」を手に入れた。
後は「無能」を演じてやり過ごすはずだったのだが……。
入学式当日。目の前で起きたのは、皇太子による「悪役令嬢・アングレアへの婚約破棄」。
孤立無援の彼女を見た時、俺の身体は勝手に動いていた。
衆人環視の中、俺は震える彼女の手を取り、高らかに宣言する。
「勘違いするなよ、皇太子殿下。この女は、今日から俺の『モノ』だ」
こうして結ばれたのは。偽りの悪役と、孤高の悪役令嬢による最強の【共犯関係】。
俺の実力は学園の枠に収まらず、規格外の者だけを集めた新設クラス《特務一組》を率いて、帝国の闇と戦うことになる。
これは、後に「最強の夫婦」と恐れられる二人が、理不尽なシナリオを力ずくでねじ伏せる、反逆と覇道の物語。