あらすじ
現代の離婚カウンセラー・相神カンナは、仕事帰りに立ち寄った縁結び神社で、かつて夫婦円満を願って奉納した絵馬を思い出す。境内奥の古井戸から聞こえる声に導かれ、井戸へと引き込まれたカンナは、無数の世界を束ねる「神々の評議界」に召喚される。世界のほころびは、神々の「夫婦」や「家族」の縁が壊れ始めたことに起因しており、このままでは幾つもの世界がリセットされると告げられる。
そして神々は、離婚の専門家であるカンナに「神々の縁カウンセラー」としての役割を求める。
カンナは、戦と秩序を司る神ヴァノーレナ、家庭の女神ティーアの案内で、最初の案件として海の神ユラヒーノと嵐の女神ラズフィア、続いて太陽神ソリアンと月の女神ルミエラのすれ違いに向き合う。神同士の喧嘩は天候異変や層界のひび割れとして現れるが、カンナは人間世界で培った聞き取りのテクニックを使い、互いが「何を大事にし、何を怖れているのか」を言語化していく。やがて彼女は、神々の関係を記録する「神々の夫婦カルテ」を考案し、評議庁にとっても重要な資料となっていく。
一方で、家の灯りを守る女神ハルミと、戸口と門出の神トキワという「親子神」の案件を通じ、家に帰りたくない人々、戻る場所を持てない人々の増加が、静かに層界を揺らしていることが明らかになる。カンナは「出ていくこと」と「帰ること」を対立ではなく連続として捉え直し、二柱に広い意味での家庭を守る役割を提案する。地上にも、玄関の前で立ち尽くす誰か、ささやかな灯りの揺れとしてその変化が現れ始める。
ある夜、カンナは自らの離婚の過去皿が割れたキッチン、最後まで本音を言えなかった恐れ、話し合いを避けた「やり方」への後悔をヴァノーレナに語る。それは、世界の終わりや戦の終結をめぐるヴァノーレナ自身の後悔とも呼応し、神と人間、二人の距離が近づく。
カンナの縁の裁定は上手くいっているように見えたが、評議界に壊れかけた世界と縁を「一度すべてリセットすべき」と主張する急進派の神々が存在し、カンナの関与を「人の子の過干渉」と批判する。
終盤、急進派はカンナの世界を含む幾つかの層の切り離しを決議しようとする。カンナはこのピンチをどう切り抜けるのか!?
とりあえずコンテスト応募に必要な5万字分のアップになります。概ね出来上がっているので、残りも順次アップしていけたらと思います。