あらすじ
この世界では、愛は物理的な「無秩序(エントロピー)」を増大させる。 二者間の「親密度」が高まれば高まるほど、その周囲の秩序は熱力学的に崩壊していくのだ。
主人公の「彼」と「彼女」は、深く愛し合っていた。 しかし、彼らが会うたび、その愛の熱量に比例して、世界は「無秩序」になっていく。
最初は些細なことだった。部屋が勝手に散らかり、コーヒーカップが理由なく割れる。 やがて、二人の周囲では人間関係がこじれ、通信が途絶し、ついには局地的な異常気象(=エントロピーの局所的増大)まで発生し始めた。
彼らの「愛」は、文字通り世界を崩壊させる危険性を孕んでいた。 世界を救うために「別れる(=エントロピーを減少させる)」のか。 それとも、世界の終わりを受け入れて「愛し続ける」のか。
熱力学第二法則が支配する世界で、二人の究極の選択が始まる。