あらすじ
――壊れたはずの羅針盤が、世界のほころびを指しはじめた。
港町ソルメアで暮らす少年アルクの胸元で、
亡き母の形見はいつも頼りなく揺れているだけだった。
だがある日、その針が初めて“ひとつの方向”を射抜いた。
森の奥で観測された、青白い光へと。
調査隊の案内役として踏み入れた最深部で、
アルクは“影の魔物”と、
空間そのものが裂けたような光景を目撃する。
羅針盤は魔物にも、裂け目にも反応した。
それは偶然か、運命か――誰にも説明できない。
ただの案内人だった少年は、
やがて“この世界の理”がひび割れ始める最前線へ立つことになる。
揺れる針が示すのは、未知か、真実か。
一歩踏み出せば、静かな日常はもう戻らない。