あらすじ
大晦日の深夜。雪が舞う町の片隅で、まだ少年だった「慧」は、一人の天女が舞う幻想的な舞台を目撃する。
天女は無表情のまま、足元に円形に置かれた十二個の雪のかまくらへ、橙色の炎を一つずつ灯していく。その舞は、慧と年上の女性「六花」との、ひと夏の情熱から始まった愛の軌跡(八月〜十二月)を再現する儀式だった。
炎が灯されるたび、二人の出会い、遠距離の切なさ、そして再会の喜びが鮮やかに蘇る。やがて舞台はクライマックスへ。年を跨ぐ瞬間に、慧は六花さんに人生をかけた純粋な決意を告げる。
しかし、天女の白塗りの仮面が涙で剥がれ落ちたとき、愛の舞台は終幕を迎える。彼女が慧の未来のために選んだ、静かなる「拒絶」とは。
これは、あまりに純粋だった少年の恋と、あまりに深かった大人の女性の愛が、雪の夜に「永遠に凍結した」記憶を辿る、詩的で切ない掌編小説です。