あらすじ
高校の弓道場で、バスケ部の佐藤くんに
「弓引く姿、綺麗だな」と言われた日。
その何気ない一言を最後に、彼は「行方不明」になった。
それから十数年。30歳になった今刻子《こんときこ》は、
同窓会の帰り道、二つの月が並ぶ不自然な夜空を見上げて、足元を失う。
目を覚ますと、そこは金と銀の月が昇る異世界の街。
領主に助けられ、小さなパン屋で暮らし始めた刻子は、
「森の奥には魔王がいる」と噂される屋敷で、
高校時代の姿のまま年を取らない佐藤くんと再会する。
老いない彼と、年を重ねた自分。
癒しの力と「死を与える者」の伝承。
二つの月の下で、刻子は“時間”と“生き方”に向き合わされていく。