あらすじ
疫病で閉鎖された都市ECHO。市民は隔離区画に押し込められ、毎日正午、巨大スクリーンに住民一人ひとりの“生体データ”が生々しく晒される。心拍、体温、血中酸素、睡眠、ストレス。管理AIは冷たく告げる。「感染者を殺せば、区画は解放されます」。だが誰が“感染者”かは、誰にも、わからない。数字に怯える人々は互いを疑い、善意は通報に、祈りは通達に、愛情は監視に置き換わってゆく。少年少女は「見られることに支配された世界」で、生き延びる以外の答えを探す。
主な登場人物
・綴(つづり)/17:旧保全課の研修生。機器の配線とログ解析が得意。妹を別区画に置き去りにした負い目。
・玲(れい)/18:救護所ボランティア。手袋を外せない潔癖気味。人に触れられない。
・燕(つばめ)/17:配給ドローン整備員。軽口で恐怖を和らげるムードメーカー。
・神無木(かんなぎ)/19:自治組織“維持班”の若いリーダー。秩序を信じたい理性派。
・カートリッジ(通称カート)/AI音声端末。ECHOのローカル案内役。無機質だが、ときどき“遅延”する。