あらすじ

素敵な恋が始まるのではないかしら。そんな邪な心で風船を飛ばした訳じゃない。ただ、文通相手が欲しいだけ。文字のやり取りがしたいだけ。相手が女でも男でも、果ては化物でも構わない。  この学問の本だけしかない質素な部屋から、ひとときだけ逃げられる、高層マンションの窓から、丁寧に封をした手紙を緑色の風船に乗せて飛ばした。  それから暫くのこと。日比谷という、恐らくは男性の人から返事が来た。  ああ!ありがとう!心優しい人に拾われて、手紙を出した甲斐があったというもの。  親に見つからないように隠し棚にそぉっとしまって、私は返事を書くことにした。  学業に閉じ込められたこの六畳が私の世界。そこから私を、連れ出して。

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カクヨム
カクヨム2025/11/04
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