あらすじ
彼と彼女は、恋ではない。
ただ、終わりに向かう日々の中で、
準備をしていただけ。
高校二年の透は、退屈な日常に沈んでいた。
何も望まず、何も失いたくもない。
そんな彼が毎日通うのは、病室。
そこにいるのは、中学三年の少女――星奈。
あと一年、生きられるかも分からない。
死ぬまでにやりたいことを並べたノートの中に、叶えられそうな願いがあった。
その一つが、
「恋人関係」
日常での告白を断るのに丁度良く、透は頷いた。
恋じゃない。ただの暇つぶし。
そう思っていたのに、
季節が変わるたび、心のどこかが少しずつ温かくなる。
笑うことも、泣くことも、触れることも。
すべてが儚くて、やさしくて、
二人はそのすべてを、今日という日に置いていく。
――これは、
死ぬ準備を始めた少女と、
生きる準備をする青年の、
静かで、壊れやすい。
「また明日が言えない世界で、君と過ごした日々の話。」