あらすじ

「クリフ、ただ今をもって、お前との婚約を破棄する!」 「――!」  華やかな夜会の最中。  僕の婚約者であり、我が国の第二王子殿下でもあらせられるトリスタン様が、にわかにそう言い放った。  炎を彷彿とさせる深紅の瞳が、妖しく揺れる。  そ、そんな!? 「どういうことですかトリスタン様! 理由をご説明ください!」  僕は今まであなた様の夫となるべく、厳しい花婿修業にも耐え続けてきました。  それもこれも、あなた様を生涯お側で支えられる男になるため――。  だというのに、何故……! 「フン、みなまで言わせるな煩わしい。――オレはもう、自分の心に正直に生きると決めたのだ」 「……え」  それは、どういう……。 「――テリー、オレの夫となってくれるか?」 「はいトリスタン様! 喜んで! ボク今、最高に幸せです!」 「――!!」  男爵令息のテリーが、トリスタン様に甘えるように抱きつく。  少女のように可愛らしい容姿のテリーがそうすると、まるで男女のカップルのようだ……。 「……トリスタン様」 「見ての通りだクリフ。オレは今後は、テリーと共に真実の愛に生きる」 「えへへー、そういうことですクリフ様!」 「……」  仲睦まじくじゃれ合う二人の間には、僕の入る隙間は一分も見当たらない。  そうか。  そういうことだったのか……。  トリスタン様の心は、初めから僕には微塵も向けられていなかったのだ。  でもそれも、無理もないことなのかもしれない……。  所詮僕とトリスタン様は、政略結婚で結ばれた間柄。  心と心で結ばれている二人には、敵うはずがないじゃないか――。 「――だからクリフ、今後はお前も、自分の心に正直に生きろ」 「そうですよクリフ様」 「――!?」  な、何を……!?

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カクヨム
カクヨム2025/11/07
  • 現在の作品婚約破棄(BL)