あらすじ
祈りを捧げることしか知らなかった少女は、世界に触れてしまった。
フローレスは“聖女”として教会に囚われ、記憶も言葉も奪われて育てられた存在。
魔王討伐の褒賞として、勇者パーティー「暁星の黎明」に引き渡される。
外の世界は、眩しくて、あたたかい。
けれど、教会の祈りは耳の奥から離れない。
そして彼女は知る。
自分は絶えたとされた シシリー族の最後の生き残り。
教会は、彼女の血を「増やす」ために、また少女たちを囚えている。
その事実に触れたとき、フローレスの願いは変わる。
「誰かに祈るのではなく、誰かを救いたい。」
暁星の仲間たちと共に、各地に囚われた少女たちを解放していく旅が始まる。
その旅路の中で、彼女を見守り続ける青年がひとり。
かつて水槽の中の彼女に触れ続け、誰よりも長く彼女を知っていた青年、リュカ。
不器用で、つんとした態度の奥に宿るのは
誰にも口にできなかった、溺れるほどの愛。
けれど、フローレスはその想いにまだ気づかない。
手を引かれるたび、胸が甘く痛む理由も知らないまま
記憶はゆっくりと、やさしく戻り始める。
これは、祈りを手放した少女が、恋と決意を知る物語。
そして奪われた少女たちを、共に救いに行く旅の物語。