あらすじ
十月、志望校に届かない成績の高校三年生・五人。彼らの前に現れた家庭教師・水無瀬は、奇妙な方法を提示した。
「誰か一人を、全員で憎んでください」
毎週月曜日、くじ引きで選ばれた一人が「憎悪対象」となる。他の四人は、その人を徹底的に否定し、軽蔑し、憎む。すると不思議なことに——成績が上がる。憎悪は集中力を生み、優越感は自己肯定感を高める。心理学的に「正しい」教育法。
医学部志望だが数学ができない田代。離婚家庭で親の期待を背負う柏木。教師志望だが人と話せない真中。推薦を失い絶望する沢村。そして、誰よりも冷静に憎悪を学ぶ倉持。
最初の週、倉持が憎まれる。彼女は耐えた。だが次の週、彼女は誰よりも残酷に他者を憎んだ。
「憎むって、気持ちいいんですね」
三ヶ月間、五人は憎み合い、成績を競い合う。だがある日、沢村が姿を消した。水無瀬は淡々と告げる。「彼は脱落しました」
そして——沢村の遺体が、山中で発見される。