あらすじ
放課後の教室には、夕陽の残照が沈みかけた血のような色を落としていた。
窓際の席で、黒瀬はスマホの画面を見つめていた。
「闇バイト 高額報酬 即金」――指先が震える。
それは誘いでもあり、罠でもあった。
彼の頭の片隅には、いつも「足りない」という言葉がこびりついていた。
金、時間、未来。
どれも手に入らず、ただ透明な焦燥だけが胸を満たす。
「使われるのはまっぴらだ」
黒瀬はそう呟き、スマホを机に叩きつけるように置いた。
――だったら、自分たちでやればいい。
そう思った瞬間、胸の奥で何かが灯った。
それは希望か、それとも破滅の火か。
やがて、匿名掲示板にひとつのスレッドが立つ。
「本気で稼ぎたい奴だけ、来い。」
最初は、誰も信じなかった。
だが、一人、また一人と現れる“同志”たち。
顔も知らぬ者同士が、画面の向こうで夢を語り、恐怖を笑い飛ばす。
計画は膨らみ、夜の闇のように輪郭を増していく。
彼らはまだ知らない。
その興奮の先に待つのが、自由ではなく――奈落であることを。