あらすじ
再開発に取り残された街・灰街(はいがい)。
そこでは、地下闘技場が“娯楽”と“秩序”の両方を担っていた。
伊達ハヤト、四十二歳。
闘技場《無名館》で警備員として働いている冴えない中年男。
だが夜になると、彼は“静かに片づける”裏の顔を持つ。
封筒一枚を受け取れば、眼鏡を外し、背筋が伸びる。
誰も彼を知らない。ただ翌朝、街は少しだけ静かになる。
新任の女性オーナー・黒岩美代との出会いをきっかけに、
伊達の平穏な夜は揺らぎ始める。
秩序を守るとは何か。
正義ではなく“均衡”のために動く男の、静かで冷たい職業譚。