あらすじ
金属加工で世界を支える灰色の都市シャルガイド。住民の多くは身体の一部が金属の〈イリディア〉で差別の只中にいる。全身が金属で生まれ、幼少時に捨てられた男――アイゼン・グレインは、飢えも痛みも希薄な“金属の身体”を抱え、感情の錆びついた日々を送っていた。
ある夜、彼は路地に捨てられた白銀の髪の少女を見つける。狼の骨格を思わせる金属の口を持つその子は、〈イリディア〉を越えた交配種〈イリディマル〉のように見えた。罠かもしれないという猜疑と、過去に自分が捨てられた記憶の痛み――究極の選択の末、アイゼンは少女を家へ連れ帰り、人生で初めて料理をし、そして“家族”として迎え入れる決意を固める。
金属の街で、金属の男に宿る母性。捨てられた者同士の出会いが、差別と孤独に覆われた世界に、かすかな温度を灯していく。