あらすじ
アゴアゴア大陸を統治するヘルヤ家は、傀儡の三代目ベジュンの失政で民心を失い、労働者ガジェンダ=エボバルトの呼びかけで各地に革命が拡大する。ベジュンは民衆の手で処刑され、政権は崩壊したかに見えたが、王統の正統性は幼い後継〈ヘルヤ=シリュー〉が国内に残ったことで宙づりとなる。
無垢の美少年シリューは、超人的な戦闘力をもつ元侍女レアルに救出され、荒野デドドキシンの白い屋敷へ避難。ニホル文化の残滓が漂う新居を拠点に、レアルは散り散りになった元侍女の再結集を進める。まず清掃係メリエルを辺境センタネルで、ついで料理係エヴァンを故郷ロドマングリフで迎え入れ、ささやかな日常を立て直していく。
一方、首都シャルガイドでは「革命の父」エボバルトが王位を推されつつも逡巡し、補佐役探しと失踪中の娘コルニ(元見習い侍女)を案じる。革命の熱が冷めやらぬ中、シリューの身柄と王統の処し方が次なる火種となる。
無力に見える幼い王と、彼を命に代えて守る侍女たち。荒廃と私怨、再建の現実が交錯するなか、「誰がこの国の夜明けを告げるのか」という問いが、デドドキシンの静かな灯りから再び世界へと投げ返される。