あらすじ
聖女エルヴィラは、帝国全土の結界を維持するという『国土安定化』の地味な義務を、日々孤独に果たしていた。
だが、その重要すぎる価値は誰にも理解されず、「氷の令嬢」「無能な偽聖女」と蔑まれる日々。
そんな中、婚約者の皇太子が派手な「治癒(偽)」を行う偽聖女に心酔。
「お前は悪役令嬢だ!」
ついにエルヴィラは、民衆の前で婚約破棄と追放を宣言されてしまう。
熱狂する民衆を前に、しかしエルヴィラは動じなかった。
彼女が静かに取り出したのは、帝国と結んだ「聖女契約」の原本。
「帝国側が契約不履行を宣言されたのですね」
「――では、私も義務を終了いたします」
彼女が『契約終了』と署名した瞬間、帝都の空に、ガラスが砕け散るような甲高い音が響き渡った。
地味な聖女(わたし)を捨てた帝国が、今、何を失ったのか。
絶望の序曲が、今まさに始まろうとしていた。