あらすじ
無為に日々を消化する無気力な青年、藤。
その日は珍しく仕事が長引き、気づけば駅構内に最終を告げるアナウンスが響いていた。
夜風の冷たさにわずかな心地よさを覚えつつ、
スマホの画面に映る自分の惨めな境遇を見下ろして白い息を吐く。
やがて乗り込んだ電車の中、藤の体はふいに違和感に包まれた。
肌の奥に警鐘が鳴るような、微かなざわめき。
その正体を探すように視線を上げたとき、
そこに――現実とは思えないほどの女がいた。
あまりに異質で、あまりに美しい。
見つめるほどに、藤は自分こそがこの空間の“異物”なのだと悟っていく。