あらすじ
心の不調で入院した青年・三崎拓は、幻覚の中に広がる「幻覚の森」で暮らしている。
そこでは天井が話し、カエルの神・ぴょん吉や、おしゃべりなスズメのスピカが現れ、彼の毎日をにぎやかに彩っていた。
最初は混乱しながらも、拓は次第にその世界を“居場所”として受け入れていく。
しかし、担当医の佐原先生は「幻覚を消すこと」ではなく、「現実と森のあいだで生きること」を提案する。
拓は森と現実のどちらかを選ぶのではなく、ゆっくりと“両方を歩く”練習をはじめる。
カレーのにおいが漂う病棟で、彼は幻覚たちと笑い、時に悩みながら少しずつ外の世界へ心を開いていく。
やがて退院を前に、拓は気づく。
森は消えたわけではなく、自分の心の中に生きているのだと。
――幻覚と現実のあいだで見つけたのは、病ではなく、生きる力だった。
笑いとあたたかさで描く、やさしい“心のリハビリ”の物語。