あらすじ

『穴のあいた家で、まだ生きている』

― 強度行動障害のこの子を抱えて ―

壁にあいた穴の数だけ
私たちは夜を越えてきた

蹴られた跡も 叩かれた腕も
風が通る窓のように 
今日の光を受けとめている

あなたの叫びは 痛みの声じゃない
「ここにいるよ」って言ってるだけ
それを、ようやく
聞けるようになった気がする

カーテンの隙間から
朝の霧が流れ込む
湿った空気が頬に触れて
私の心も、少しだけ柔らかくなる

昨日は、泣いたね
あなたも 私も
けれど今、
あなたの手は私の手を探している

殴られても、噛まれても、
抱きしめることをやめなかったのは
あなたを罰したいからじゃなく
あなたを、失いたくなかったから

世間は言う
「壊れた家」「異常な親子」
でも私は知ってる
ここは、確かに“生きている家”だと

穴の向こうから聞こえる風の音
壁の粉が指につく
それすらも、私の証
――生き延びた印

誰にも理解されなくてもいい
今日もこの家で、あなたと生きていく
怒りも涙も、愛の形に変えながら

だから今、そっと言うよ
「もう、大丈夫」
穴のあいた家で、
私たちはまだ――
生きている。

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アルファポリス
アルファポリス2025/11/08
  • 現在の作品『穴のあいた家で、まだ生きている』強度行動障害のこの子を抱えて