あらすじ
「好きだ」
放課後の静かな教室で、健一は言った。
幼い頃、泥だらけになって遊んだ幼馴染。
いつからか、ただの隣人になり、
「おはよ」「……おう」
そんな言葉しか交わさなくなっていた。
けれど、高校生になったある日。
彼は彼女に想いを伝える。
不器用で、まっすぐで、少し怖いほどの瞳。
断る理由など、浮かばなかった。
ふたりの初めてのデートは、夏祭り。
浴衣姿の紗世を、彼は照れくさそうに見つめる。
「……かわいいじゃん」
手が触れ、指が震える。
花火が夜空に滲む。
――これは、
消えてしまいそうな“恋の始まり”を描く、
たったひと夏の物語。
どこにでもあるようで、
たった一度しかない青春の記憶。