あらすじ

広告代理店で働く主人公は、三年間交際した恋人・美咲と別れる。彼女は写真家としてニューヨークへ渡るが、主人公は同行を選ばなかった。残された部屋には二人の写真が溢れ、未練に苦しむ中、友人に教えられた写真加工アプリ「Remember」を試す。写真から消したい人物を指定すると、AIが自然にその人を消してくれるという。酔った勢いで美咲の姿を削除していくうちに、彼女への記憶が曖昧になり、翌朝には奇妙な異変が起きていた。美咲の連絡先も、同僚たちの記憶も、彼女の存在そのものが現実から消えていたのだ。  混乱した主人公はアプリの開発元「Memento Inc.」に問い合わせる。返信には「写真を消すことで記憶を整理するのは仕様であり、復元は不可能」とあった。絶望の中で主人公は、美咲が最後に撮った「最後の記録」という写真を思い出す。彼女がまだニューヨークで活動していることを突き止め、ギャラリーを通じて連絡を試みるが、「そんな人物を知らない」と返される。おそらく、美咲も彼の写真を消したのだろう。  すべてが失われた後、主人公はアプリの「加工履歴」から美咲の写真を復元する。しかし彼女を知る人々の記憶は戻らず、現実は変わらなかった。かつての笑顔は画像の中にだけ存在し、彼の胸に残るのは痛みと喪失だけだった。  主人公は悟る。失恋の痛みを消すことは、愛そのものを消すことだと。誰の記憶からも消えた美咲の存在を、最後まで覚えているのは自分だけ。彼は夕焼けの空を見つめ、写真の中の彼女を胸に抱いたまま、生きていくことを選ぶ。

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エブリスタ
エブリスタ2025/11/08
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