あらすじ
神津市
かつて臨床試験が行われたこの都市では、記録されない死が静かに積み重なっていた
死因は心停止。証拠はゼロ
だが、死体は語る。皮膚の沈黙、筋肉の記憶、そして肺の虚脱。
それらは、証明を求める声だった。
法医学者・志摩遥は、死者の沈黙を聴く者。
彼女は、記録から消された薬剤、改ざんされたカルテ、そして“倫理”の名のもとに封印された真実を追う。
被害者は、かつて同じ臨床試験に参加した者たち。
犯人は、医療制度の隙間に潜む者。
そして、殺害方法はすべて現実に可能な技術と知識に基づいている。
毒物、密室、遠隔操作、心理的誘導、医療機器の悪用――
それぞれの死は、ひとつの“証明”であり、ひとつの“残響”である。
やがて彼女は気づく。
この都市そのものが、巨大な実験装置であることに…
そして、自らの過去もまた、沈黙の中に埋もれていたことに。
死者は語る。
だが、語られた声は、誰が証明するのか。
それが、志摩遥の使命だった。