あらすじ

前々からこうなることは私も父も把握していた。 「イレーヌ、君には本当に申し訳ないと思っている。だが、僕の心はマリシアにあるんだ。どうか僕たちの婚約を解消か破棄をしてほしい」 きた、この展開!と待っていたのだけれど心の中で、ニヤリと笑った。実はお父様からこっそり聞かされていたことがあるのだ。 「イレーヌ、もし殿下の方から婚約破棄を申し出てきたらヴァロワ家には莫大な慰謝料が支払われることになるんだ」 婚約者がマリシア様に夢中になっている間、ちゃっかり美味しい話を聞いていた。 そんな価値でもないと楽に別れを選択はしないけれどもちろん、表面上は悲しそうな顔をして見せるのはおちゃのこさいさい。他にも婚約していた理由がウチにはあるものの。 「殿下……そんな……わたくしを捨てるというのですか?」 って、涙目の演技もバッチリで、たっぷりの涙。イレーヌは練習をたくさんしたから完璧でしょうと内心勝ちに酔いしれ、ジルベール様は演技にすっかり騙されてますます申し訳なさそうな顔になった。 不貞を悲劇のように語るなど落ちたものだ。自分の不始末をストーリーにするとはなさけない。 「本当にすまない。君のことは一生忘れない」 「わかりました。お元気で」 最後に少しだけ寂しそうな声を出してみた。一捻り、忘れたくても忘れられない気がする。あなたが。 「殿下のご決意が固いのなら、わたくしは身を引きますわ」 すっぱり縁を切った数日後、王家からヴァロワ家にそれはもうびっくりするくらいの金銀財宝が届けられた。 短編に加筆、修正してその後を書いた連載版となります。

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小説を読もう2025/11/01