あらすじ
「君のその”勘”ってやつ、何の役にも立たないね」
――そう言って私をクビにした上司は知らない。私が“視て”いたのは、数字やデータではなく、物に宿る“魂の輝き”そのものだったということを。
美術館の学芸員だった黒澤 澪(くろさわ みお)は、物に秘められた真の価値やポテンシャルを色として“視る”ことができる【共感覚】の持ち主。しかし、その感覚は誰にも理解されず、「非科学的だ」と疎まれ、職を失う。
途方に暮れる彼女が偶然出会ったのは、業界から黙殺された孤高の天才調香師・一条 蓮(いちじょう れん)。彼は、商業主義に背を向け、時代遅れの工房で誰にも理解されない“本物”の香りを追い求めていた。
彼の作る香水は、どれもくすんで輝きを失っていた――ただ一つ、彼が「失敗作だ」と捨て置いた、埃まみれの小瓶を除いて。
その小瓶から、澪は“至上の黄金色”を視た。
「お願いします、この香水を私に売ってください!」
これは、世界から才能を呪いと蔑まれた女が、同じく世界に才能を認められなかった男の“唯一の理解者”となり、悪意に満ちたライバルの策略、信頼した者の裏切りという絶望の淵から、二人で世界最高峰のブランドを、そして最高のパートナーシップを築き上げる、逆転の物語。