あらすじ

魔法の王と謳われる北国、ノストーレス。 圧倒的な魔道士の数はもちろん、ありとあらゆる研究による魔術の著しい進化もあり、今では他を凌ぎトップの財力と領土を保持する超大国に君臨している。 だが、数千年の歴史は光ばかりの一面だけではない。 魔法が発展する最中、元あった文化は廃れ、剣士や医師など専門的な分野の職業は今や見る影もなくなった。 剣術や医術などいくら極めようとも、重宝されるのはいつだって魔道士。 あまりに酷な現実は、彼らから職を奪うばかりか。 魔道士以外は非国民として扱われることも多々あり、度重なる心労のせいでさらに彼らは数を減らしていくこととなった。 「うん、今の太刀筋は良かった」 そんな日々の逆境の中、敢えて剣士になってやろうと日々奮闘する者がいた。 非公認ながら大人も出場する大会で毎回トロフィーを取る程の実力の持ち主であり、将来は剣士長の座も狙えるとまで噂されている人物だった。 「さて、これは契約だ」 しかし、結局輝かしい未来は訪れなかった。 代わりに大きな手が待っていた。それも、赤に汚れた。 「私の脳となれ」 後にこの手が黒騎士と呼ばれる人間のものだと知るまで数日かかるのだが、時間にして約四十五時間。 その間地獄のような訓練を受けることとなる。 もちろん休息はなしで。 「敵の兵が十万、こちらは一万。十倍もの差がある中、お前はどう戦う?」 「山が北東一キロ先にある。西側の麓までおびき寄せて」 そうしてようやく初陣に立った様は、見違える程に細かった。 当然といえば当然である。 四十五時間もの間詰んだのは、剣士としての研鑽ではない。 「目測数千、目標地点へ陽動完了。さて、次の手は?」 「全員無事に逃げて。それだけ」 「了解」 血腥い戦場に立つ姿は、剣士ではなく軍師として。 約束された将来と共に剣を捨てた理由はひとつ。 「……雪崩か」 大国ノストーレスを討つこと。ただそれだけだ。

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小説を読もう2024/12/29
  • 現在の作品白黒軍師導