あらすじ
――風が、音を運んでいた。
遠い日のステージ。
あの瞬間、確かに響いていたはずの旋律が、
今はもう、誰の耳にも届かない。
それでも――彼らは、探していた。
失われた“音”の意味を。
あの日の“約束”を。
そして、もう一度笑い合える“仲間”を。
鳳学園。
青春のざわめきが、夕暮れの廊下を抜けていく。
手のひらの汗、震える声、心臓の鼓動。
それらすべてが、まだ“音楽”のかけらだった。
ひとりの少女が、歌を失い、
ひとりの少年が、その沈黙を抱きしめた。
やがて、仲間たちは真実を求めて――風の中へと踏み出す。
誰もが胸に、守りたい音を持っている。
たとえ聞こえなくても、たとえ壊れても。
その想いがある限り、ステージは続く。
風が吹くたびに、
彼らの歌が、どこかで誰かの心に届くように。
――『風の中のステージ 鳳学園軽音部事件録』
音が消えた日、青春は始まった。