あらすじ
――平成16年。まだスマホもSNSもなかった頃。
春の風が吹く入学式の日、
テニス部に入ったばかりの花咲有里(はなさき ゆり)は、
クラスの中心にいるサッカー部の神谷賢哉(かみや けんや)から
不意に「メアド、教えて」と声をかけられる。
それがすべての始まりだった。
毎晩のように届く短いメール。
「おつかれ」「今、何してる?」
小さな画面の中で交わした言葉が、いつの間にか心を占めていく。
けれど、周りの噂、嫉妬、そしていじめ。
優しいはずの友達さえ、敵に変わる。
「もう学校なんて行きたくない」
そう思った夜、
賢哉が言った――
「大丈夫。俺がいるから。」
不器用で、強がりで、
それでもお互いを想い合っていた二人。
だが、彼の心には誰にも言えない“秘密”があった。
家庭の事情、孤独、そして未来への不安。
有里が本当の「愛」を知ったとき、
それは“永遠の別れ”の始まりでもあった。
高校3年間――
出会い、恋、裏切り、赦し、そして喪失。
桜の花びらが舞う卒業式の朝、
有里は1冊の日記帳を手にする。
そこには、賢哉の文字でこう書かれていた。
「お前の笑顔が、俺の春だった。」
涙で滲む文字を見つめながら、
有里は静かに微笑む。
――“LOVE FLOWER”
それは、失っても咲き続ける、心の中の花。
あの頃の想い出に、そっと触れてみませんか?