あらすじ
静寂な山寺の塔の頂で夜巡りをしていた老僧・**明空(みょうくう)**は、山奥の古木林を眺めていた。
その山の麓では、弟子の清遠(せいえん)が師の門派とは異なる独自の真道を求め、一人苦行に励んでいる。清遠の探求は、師から逃れるためではなく、本質的な悟りを得るための自立の選択だった。
明空が山際まで歩み寄ると、主となる滝から一本の細い流れが分かれ出て、異なる方向へ奔るのを目にする。
この分流を見た明空は、清遠の心中をすべて悟った。清遠は、本源(師の教え)の清らかさを持ちながら、既定の道筋を離れて自らの世界を切り開く運命にある。明空は、それを寂しさではなく、一つの真の継承として受け入れた。
翌朝、分流した水はすでに遠くへ去っていたように、清遠の旅立ちは、師の深い理解と承認の下での「選択」であり「新たな継承」となった。