あらすじ

高校三年生の西村悠人にとって、世界は愛しい妹・実夕の存在によって成り立っていた。実夕は同じ学校に通う一学年下の妹。二人は血の繋がった兄妹でありながら、まるで恋人のように親密な時間を過ごしていた。放課後の帰り道、夜のゲーム時間、何気ない会話のすべてが、悠人にとって永遠に続く幸せな日常だった。  しかし、その日常は、ある日突然不穏な影を落とし始める。  父と母に連れられ、誰のものか分からない斎場へと向かった悠人。そこで彼は親戚たちから「あの子は薄情者だ」という趣旨の、不可解な噂話を耳にする。帰宅後、悠人の記憶は白い霧に包まれ、葬儀が誰のものだったのか、なぜ両親があんなにも無表情だったのか思い出せなくなってしまう。  その日から、悠人と実夕の関係は不確かな兆候に苛まれる。  実夕の手は、手を繋ぐたびに凍ったガラスのように冷たく、学校の名簿には彼女の名前が存在しなかった。さらに、二人が愛の証として撮ったポラロイド写真には、実夕の姿だけが写らず、隣の空間が虚しく空いているという衝撃の事実が突きつけられる。  悠人の心は混乱するが、実夕が「お兄ちゃんの愛が私をここに繋ぎ止めている」と涙ながらに訴えたことで、悠人は妹への愛が「親愛」から「恋愛」へと変質していることを自覚する。彼は「たとえ世界がお前を否定しても、俺の心が真実だ」と、兄妹というタブーを超えて実夕を愛し続けることを決意する。  二人の切実な恋を知った両親は、最後の思い出として家族旅行を提案する。旅行中、実夕は「私がいなくなっても笑っていて」と、愛を込めた別れの願いを悠人に伝える。  そして旅行最終日、実夕の体は光の粒子となって徐々に薄れ、ついに両親の視界からも消えてしまう。悠人は目の前で掴むことのできない光へと変わっていく実夕の姿に必死で手を伸ばすが、虚しく空を切る。  その瞬間、悠人の脳裏にすべての記憶がフラッシュバックする。あの日の葬儀は、不慮の事故で亡くなった実夕のものであり、彼が愛し、触れていた実夕は、彼自身の強い喪失感と愛情が生み出した「幻の恋人」だったのだ。  悠人は愛する人を二度失った悲しみに打ちひしがれるが、実夕との「絶対に忘れないで」という最期の約束を胸に刻む。  一番遠い、君の隣。  それは、もう触れられない、しかし魂に深く刻まれた、永遠の愛の記憶として、悠人の心に残り続けるのだった。

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エブリスタ
エブリスタ2025/11/07
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