あらすじ
私には確証はなかったが、この既視感には覚えがあった。 街並み、家族、見るもの全てが、前世でやり込んだ乙女ゲーム『白亜の学園〜心の行方〜』そのものだ。 ただし、今はゲーム開始の3年前。 目の前の優しき父と兄は、本来のシナリオ通りなら私が断罪された後、連座で処刑台の露と消える運命にある。 「お二人のためにも、私は決して悪役令嬢になどなりません。善行を積み、生存ルートを勝ち取ります!」
◇◇◇
時は流れ、卒業パーティー当日。
王太子はドクダミを侍らせ、高らかに宣言した。
「カモミール! 私を顧みず、愛のかけらもない冷血な女よ! 貴様との婚約を破棄する!」
周囲が凍りつく中、私は扇を閉じて静かに微笑んだ。
「承知いたしました。ですが殿下、その破棄は『王命』によるものでしょうか、それとも『真実の愛』によるものでしょうか?」
「愚問だ! 真実の愛に決まっている!」
「ならば、王宮特別裁判所に調停を申し立てます。どちらが優先されるべきか、公の場で白黒つけましょう」