あらすじ
商談前の昼休み、出前のカツ丼を前にしていた田中の背後に、理由もなく“極小のブラックホール”が発生した。
部長のカツラからコピー用紙、果ては社員たちまでも吸い込みながら勢力を増していくそれは、会社の命運どころか世界の理すら脅かしていたが――彼の関心は、ただ一つ。目の前のカツ丼の美味さである。
割り箸を落とされようが、部長が悲鳴を上げようが、マドンナが助けを求めようが、出汁の染みた豚カツと甘い玉ねぎの誘惑には勝てない。
ブラックホールに社員が消えていく中、田中はカツ丼に箸を伸ばした。
宇宙規模の理不尽を前に、果たして田中はカツ丼を食べられるのか。