あらすじ
とある私鉄のターミナル駅。その喧騒から外れた通路の奥にある「遺失物取扱所」。
そこは、人々が日々の忙しさの中で置き去りにしてしまったモノたちが、持ち主の迎えを待つ「一時的な止まり木」である。
主人公 小野寺(58歳)は、かつて運転士だったが、目を患いこの職に就いた。
妻を亡くし、子供もおらず、止まった時間の中を生きる彼は、届けられる「忘れ物」を通して、乗客たちの人生に触れていく。
冷めた弁当箱、片方だけのイヤホン、書き込みだらけの参考書、誰かの遺影……。
小野寺は規則に縛られながらも、その裏にある「想い」を汲み取り、持ち主の心に小さな灯りをともしていく。
それは同時に、彼自身の孤独を癒やす行為でもあった。