あらすじ
「エイラ・ルイーセン・ラング公爵令嬢! 貴様との婚約を今日限りで破棄させてもらう!」
声の主は、皴一つない清潔なシャツの上に王家ハインツガルドの家紋が金刺繍として施されたブルーの外套を羽織った王太子ルーズブルグ。
そして彼が抱えるようにして、その腕の中にはまるで小動物が今にも凍えるような姿で怯えている少女、伯爵令嬢のミルルがいた。
ルーズブルグの半分怒気を含んだような声で、エイラ・ルイーセン・ラングの意識が覚醒した。
(ぬわ!? ここは? あちきは冬コミ真っ最中の期間限定同人誌の争奪戦の渦中におったはず)
現状を把握すると同時にルーズブルグの追い打ちの声が跳ぶ。
「貴様は、その卑しい思考をフル活用し、高慢な身分を笠に着て、純真無垢で可憐なミルルをひどく虐げた! この嫉妬に狂った外道が!」
運悪く婚約破棄の場面に転移してしまった歴女の話です。