あらすじ
「まあ……美味しそう」
こぼれた本音に、自分でも驚いた。胸の奥がじわりと熱を帯びる。
目の前でゆっくり揺れるのは、岩のように鍛え上げられた男の肉体。
肩の稜線、厚い胸板、呼吸に合わせて浮き沈みする腹の筋。
照明が汗の粒を淡く拾い、まるで彫刻が目覚めたように生々しく光る。
「……どうぞ、召し上がれ」
地の底から湧き上がるような低い声が、耳の奥を撫でた。
ゾクリ——と背中を走る電流。理性なんて、ほとんど意味を成さない。
黒い羽根の仮面は、ベネチアの特注品。
男の表情を隠すための装飾なのに、逆に隠し切れない存在感を際立たせてしまう。
頑丈な鼻梁、わずかに緩む眉、揺るがない大人の余裕。
どこを見ても、危険で、美しくて、完璧に男だった。
「俺は、この椅子に座っていればいいのかな?」
「そうよ。動いちゃダメな遊び……しましょう?」
伸ばせば届く距離。
空気越しに伝わる胸板の鼓動に、こちらの心拍までゆっくり奪われていく。
「気に入った。このゲームが」
「私も。合格よ。私の玩具箱に入れてあげる」
その瞬間、彼の唇がかすかに笑った。
危険な香りが、甘い誘惑に変わった。
危険度、災害級!!……私にしか出来ない。
そう、自分を奮い立たせた。
◾️◾️秘密のアルバイト◾️◾️ (シリーズ5部作)
舞台は新宿みたいな場所。年齢不詳な美女5人が幸せをねじ伏せていく物語。
“誰かじゃなくて、この人”と生きること。
◾️【だってそんなに素敵だとは知らなかったから】
◾️【私がジャイ子ですが、なにか?】
◾️【ホストの蘭】
◾️【夢路のぱっくん】
◾️【私の名前は峰不二子】