あらすじ
ビルの夜を掃除する少女・美波は、
“耳で世界を覚える”特異な記憶力を持ちながら、
人との距離に怯えて生きてきた。
そんな彼女の前に現れたのは、
喫茶店のような佇まいをした「萬屋マイク探偵事務所」の主──萬屋マイク。
他人の過去や嘘を見抜く彼が、美波に告げたのは、
励ましでも慰めでもない、ひとつの約束だった。
「見失わねぇよ。お前の行き先も、折れそうな夜も」
夜の休憩所で始まったささやかな会話は、
やがて彼女を机へ、未来へ、高卒認定試験へと導いていく。
逃げる癖を持つ少女と、
人を見捨てない探偵が織りなす、
静かな再生の物語。
ビルの片隅で交わされる約束は、
美波の世界をそっと塗り替えてゆく──。