あらすじ
中学生の「僕」は、忙しい母とすれ違う日々を過ごしていた。母は看護師で、家にいる時間は短く、料理も作れなくなっていたが、僕はそれを深く気に留めることもなかった。母の疲れた顔を見ると話すのをやめてしまい、気づけば、母と向き合うこと自体が減っていた。
ある冬の朝、母が倒れた。病室で眠る母は、痩せて、弱々しく、昔とは違っていた。僕はその姿を見て初めて、母の老いや疲れに気づき、これまで自分が“見ようとしてこなかった”ことを知る。何も返せなかったこと、声すらかけなかった日々への後悔が静かに押し寄せる。