あらすじ
「眠らなくてよくなる薬」が発明された。
一日二十四時間働ける夢の薬。世界中で大ヒットし、生産力は跳ね上がり、経済は右肩上がり。
ただひとつ、誰も気にしなかった副作用があった――薬を飲んだ人間は、夢を見なくなる。
出版社で辞書を作っている佐久間は、持病のせいで薬を飲めなかった少数派だ。
まわりの同僚たちは眠らなくなり、仕事ははかどり、残業もなくなった。だがある日を境に、新語の報告がぱたりと止まる。
ことわざが思い出せない作家。比喩を描けないイラストレーター。冗談を理解しない上司。
やがて判明する――夢を見ない人間は、「想像する力」から先に死んでいくのだと。
眠らない社会が行きつく先で、最後に言葉を数えるのは――。