あらすじ
春正カイトは、ありふれた設計仕事に縛られ、叶わぬ夢に疲れ果てた、ただの挫折した建築家にすぎなかった。
しかしあの夜、黄金の光がアパートを飲み込んだ瞬間、彼は“アルケアン”――建築がただの建物ではなく、運命そのものを織り上げる力として存在する世界へと放り出される。
不気味な囁きを漏らす古代都市の廃墟の中で、カイトは悟る。
今まで描いてきた設計図(ブループリント)が現実となる力を自分が持っていることを。
彼がスケッチしていた応急医療施設は瀕死の騎士ミラを救い、その出来事によって噂が広がる──
「最後の建築士(アーキテクト)が帰ってきた」と。
だがその力は祝福ではなかった。
彼が建てる構造物のひとつひとつが、周囲の人々の運命を予測不能な形で書き換えてしまうのだ。
さらに世界は崩壊の最中にあった。
古代より続く基盤が限界に達し、地方は次々と“虚無(ヴォイド)”へと沈み込んでいく。
そして、その崩壊の裏で暗躍する者がいた。
世界を救う唯一の方法は「先に壊すこと」だと信じる、反逆の建築士リサンダー・ケインである。
追放された騎士ミラ、皮肉屋の書物の精フェネック、商魂たくましい商人ヴィクトルと共に、カイトは選択を迫られる。
再生の架橋(リインカーネーション・ブリッジ)を築いて元の世界へ帰るのか。
それとも、崩壊寸前のこの異世界を支える、最後の基盤となるのか。
──石と影で運命が組み上がるこの世界では、
ひとつの設計ミスが、すべてを崩壊させる。