あらすじ
天蓋の下で僕らは祈る。
それが世界を支えていると信じながら。
天の縁には氷の壁がある。
神の息吹が触れる場所──
そこへ踏み入ることは、古より禁じられていた。
けれどある夜、僕は見てしまった。
祈りを操り、神を偽る人間の姿を。
その瞬間天蓋に走ったひびは、世界ではなく僕自身の中で鳴り響いた。
真実を知ることは、正義なのか。
光を閉ざした天が崩れ、未観測の世界が目を開ける。
神の観測から解かれた僕は、ただ、自分の目で世界を見つめ始める。
これは、観測の果てに生まれた、一人の人間の、静かな再生の記録。