あらすじ
高校1年生の 玲奈 は、クラスで目立たない存在。
仲良しグループにも入れず、けれど「ひとりが好き」と言えるほど強くもない。
唯一の救いは、SNSで出会った相手——
名前も顔も知らない優しい誰か「ちゃーん」だけ。
「今日も疲れた。ちゃーんと話すのだけが救い」
画面越しのその存在に、玲奈は心の全てを預けていた。
しかし、現実では少しずつ歯車が狂い始める。
昼休みの席替え、提出物のすれ違い、小さな誤解……
些細な出来事が積み重なり、玲奈はやがてクラスで孤立していく。
そんな中、国語教師の 由希 は、特に理由もなく——ただ“目の前の違和感”として、玲奈を気にしていた。
授業中の視線、ノートの余白に残る筆跡、答えられない質問。
「……この子、自分の声を押し殺してる」
確証はない。
でも、その小さな違和感は“しぐさ”の積み重ねとなって、由希の中に光のように残り続ける。
一方、玲奈はますます「ちゃーん」への依存を深めていく。
その言葉は優しくて、的確で、まるで“全部わかってくれている”ようだった。
だが―――
◇ SNSで口癖のように繰り返される言葉
「焦らなくていいよ。ちゃんと考えてるから」
「私はいつもここにいるよ」
それは、玲奈が毎日の授業で聞いていた声でもあった。
気づき始めるのは、由希のほうだった。
ふとしたやり取りの中で、SNSの口癖と似た表現が玲奈の独り言に混ざる。
(……まさか、そんなはずは)
由希は知らず知らず、「ちゃーん」として玲奈を支え続けていたのだ。
しかし、真実が明かされるよりも早く——
学校で“事件”が起きる。
小さな嘘と悪意の噂。
玲奈は、ついに教室で“完全に孤立”する。
それでも、救いは確かにあった。
目の前の教師が
画面の向こうの声が
たしかに「寄り添って」いた。
――あの日、放課後の光の中で
誰にも届かなかったSOSに、気づいた人がいた。
これは
顔を知らない二人が
同じ教室で出会っていながら
“画面の向こう”でやっと繋がった物語。
そしていつか、
画面を閉じても寄り添えるようになるまでの——
再生のヒューマンドラマ