あらすじ
帝国随一の美貌と徳を兼ね備えた侯爵――レオナール。
民は彼を「白百合侯」と讃え、神に選ばれし存在として崇めていた。
だがその純白の裏には、血よりも黒い秘密が隠されている。
彼の手で築かれた繁栄の礎は、誰の涙の上に成り立っていたのか。
輝かんばかりの白で覆い隠された漆黒を描く、
堕落と背徳のファンタジー。
👑登場人物
■レオナール・リリウス(白百合侯)
帝国辺境〈ルクレティア公領〉の支配者。
聖人と称される美貌と慈悲を持つが、兄弟と親を暗殺し地位を奪った。
裏では薬物取引と人体実験を操り、帝国の繁栄を影から支える冷徹な支配者。
民の信仰と崇拝を糧に、自らの罪を覆い隠す。
■ジュリアン・ヴェルト(執事)
侯爵の幼馴染であり、唯一“裏”を知る男。
冷静で聡明、現実主義者。
「領地の安定こそ善」と信じ、侯爵の罪を補佐してきた。
しかし罪悪感に蝕まれ、薬に溺れ、自我を保つことすら難しくなっている。
終盤、彼は“共に沈むか”“見限るか”の選択を迫られる。
■マルセル・クレメンス(若き神官)
清廉で正義感あふれる青年。
侯爵を心から尊敬し、彼の施政を「神の導き」と信じていた。
だが施療所の帳簿に不自然な記録を見つけ、
その信仰と理想が音を立てて崩れていく。
善悪の曖昧な世界で、“信じる”とは何かを問う存在。
■セリーヌ・アイレ(元侍女)
かつて侯爵の慈悲に救われたと信じ、彼の愛人となった女性。
だが、夫を騙され、友を陥れられた現実に気づき、
真実を告発しようとするも、尊厳を汚され処刑される。
彼女の死が物語の始まりとなる。
■リオ・サーラン(孤児の少年)
鉱山で酷使されていた少年。
侯爵の政策により家族を失い、復讐のために生きる。
マルセルに拾われ、読み書きを学び、真実を暴く存在へと成長する。
物語の終盤、彼は“白百合侯の帳簿”を奪い、祭礼の夜にその罪を暴く。
最後に侯爵を討ち取るのは彼――。