あらすじ
2088年。量子コンピュータ技術により、死者の意識をアップロードできる時代が到来した。
大学生の水無月ハルは、最愛の祖父・太郎を失う。
量子輪廻システムによって、祖父の意識は三つに分散した。
街角のカフェで微笑むAIバリスタ。
実家の畑で黙々と野菜を育てるロボット。
そして、ハル自身の記憶の中に宿る温かな声。
仏教の四十九日になぞらえた49日間。
その間に、ハルは決断しなければならない。
「どの祖父を、永遠に残すのか」と。
医師は言う。
「最大保持率70%のカフェAIに統合すべきです。それが最も合理的な選択です」
だが、カフェの祖父も、畑の祖父も、記憶の中の祖父も――みんな、祖父だった。
そしてやがてハルは祖父が遺した手紙を発見する……。
完全な祖父を取り戻すか、不完全な三人の祖父と生きるか。
量子が紡ぐ、喪失と再生の物語。カフェの香りと、畑の温もりと、記憶の中の笑顔――。
ハルが選んだ答えは、誰も予想しなかったものだった……。