あらすじ

母の再婚と家庭内の軋みから逃げるように、
17歳の少女・瑞希は山奥の村、天夜戸(あまやと)村へ移り住む。
人口300人にも満たないその村は、外界から隔絶された“閉じた谷”だった。

転校初日、瑞希は奇妙な遊びを目にする。
子どもたちが輪になり、笑いながら歌う「はないちもんめ」。
しかしその歌は、異様なほどゆっくりで、
歌の終わりには必ず “誰かが選ばれる”。

「○○ちゃん、いらない」
その一言で、選ばれた子どもは翌日 跡形もなく消える。

瑞希が転校先で声をかけた少女・葵(16)は、唯一この村で優しくしてくれる存在だったが、
ある話題に触れた瞬間だけ、葵の瞳はまるで“他人のもの”のように濁った。

徐々に浮かび上がる真実。
天夜戸村では百年以上前から、
「はないちもんめ」を使って生贄を選ぶ儀式が続いてきた。

「ほしい子」=神に捧げられる器
「いらない子」=村で処分される不要の子
「選ばれなかった子」=怨念化して怪異となる存在

その残酷な輪廻を担うのは、村の中枢「匁家(もんめけ)」であり、
葵はその分家出身。
幼い頃、葵自身も“いらない子”に選ばれたが、
儀式の夜に“選ばれなかった子どもたちの怨念”によって奇跡的に生き延びた。

生きた人間でありながら死者の領域に片足を突っ込んだ葵は、瑞希を守ろうとする“普通の葵”と瑞希を贄に差し出そうとする“儀式の葵”の、二重人格に苛まれていた。

秋祭りが迫るにつれ、村は狂気に染まっていく。
夜な夜な彷徨う
顔のない子、
歯だけが笑う子、
目だけが泣いている子
の群れ。


「か〜ってうれしい、はないちもんめ」
「ま〜けてくやしい、はないちもんめ」


瑞希は逃げ切れるのか。
葵は何者になるのか。
“神”はと呼ばれる存在はこの村と人間を喰らうのか。

「ほしい子は神に喰われ、
いらない子は村に処理され、
選ばれなかった子は怪異となって彷徨う。
天夜戸村の“はないちもんめ”は、百年かけて磨かれた“人の選別装置”だった。」

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アルファポリス
アルファポリス2025/11/17
  • 現在の作品匁喰いの村