あらすじ
「君の刺繍は無益だ」
婚約披露の夜、王太子にそう言われ婚約を破棄された侯爵令嬢エリシア。
冷たい視線と嘲笑の中、彼女は静かに微笑み、針を握った。
――失われたはずの“付与術”が、彼女の指先で再び光を放つとも知らずに。
行き先は、氷雪の地・グランベルグ領。
無表情で「氷の将軍」と呼ばれる辺境伯レオンハルトとの政略婚。
けれど彼の城には、誰も知らない温かさがあった。
刺繍に魔力が宿り、兵を守り、結界を織る――。
やがて彼女の針は戦を救い、王国の運命を変えていく。
かつて無価値と言われた手が、いま誰かを守る力になる。
「君の針が俺を繋ぎ止めるなら、俺の剣は君を護る」
氷の将軍と刺繍令嬢、心を縫い合わせる恋と再生の物語。